『ノイズ 音楽/貨幣/雑音』
「不確かでうつろいやすく、ささやかでかすかな流れとなって、音楽はわれわれの世界、そしてわれわれの日々の生活の隅々にまでゆきわたっている。今、それは、条理を失った世界の中で、安らぎを見出し得るのはBGMしかないかのように、われわれには不可欠なものとなっている。今日、音楽の流れるところにはすべてまた、貨幣がある。(…)商品となった非物質的な悦びたる音楽は、記号の社会、物質的でないものまでが売買される社会、社会関係が貨幣に統合された社会を告知しているのだ。
音楽は、予言的であるが故に告知する。音楽は、いつの時代にもその原理のうちに、来たるべき時代の告知を含んでいたのだ。」